時系列データを平滑化する移動平均
移動平均は、特定期間内の平均値を連続して計算し、平滑化された折れ線グラフの推移を確認する統計手法です。
新型コロナウイルスの蔓延時、7日平均線は毎日テレビでも見たことでしょう。
検査数は毎週月曜日が少なかったため、7日平均を取ることで感染状況の増減を追うことができました。
この記事で学習できること
- 移動平均(単純移動平均:SMA)
皆さんの職業にも、繁忙期と閑散期はありますか? 私の講師業においても、年間を通して繁忙期と閑散期が存在します。
特に3月から5月までは、飲食店がクリスマスやお節料理で忙しくなるシーズンに相当し、講師業にとっての書き入れ時です。そして12月が閑散期。世間は師走ではありますが、私はこの時期を狙って1年の疲れを取るべく旅行でリフレッシュしております。
まあ、それはさておき。
年間の折れ線グラフでは、そのままの売上金額の推移を見ることとなるので、損益分岐点を見るにはいいけれども、アップダウンの激しいグラフとなり、現状の成長と衰退がわかりづらいグラフとなってしまいます。
そこで12か月区間のように、平均値をスライドさせてグラフ化し、現状が右肩上がりなのか、現状維持なのか、右肩下がりの状況なのかを確認します。
これを「トレンド分析」といいますので、この用語は覚えておきましょう。
いま、右肩上がりなのか、現状維持中なのか、右肩下がりなのか。ゆるやかな曲線で現状把握ができます
第16講座
移動平均は、平均値を取るための区間を決めて、その範囲で平均値を取得していきます。
Excelではシンプルに、AVERAGE関数で7日分の平均値をオートフィルで取得していくイメージです。
日別のデータであれば、曜日の7日移動平均。月別のデータであれば、12か月分の移動平均を使います。移動平均では最適な区間を扱うことが重要です。
移動平均を多用するトレーダー
移動平均といえば、トレーダーがよく使う折れ線グラフと言えるでしょう。
株価分析における移動平均の期間設定は、分析者の目的や好みに応じて様々ですが、一般的に用いられる期間として、5日と25日の移動平均があります。
他にもよく使われる期間として、10日(2週間近いトレンドを捉える)、50日(中長期のトレンド分析)、および200日(長期的な市場のトレンドを示す)などがあります。
これらの移動平均線を、チャート上で重ねて表示することにより、短期から長期にわたる市場のトレンド変化や、相互の移動平均線が交差するポイント(ゴールデンクロス:買い時やデッドクロス:売り時などの重要なシグナル)を識別することが可能となります。
投資に興味がある方は、この5日と25日平均を頭の片隅に入れておくといいでしょう。私もよく移動平均線を眺めながら、投資信託の状況をにらめっこしております。
移動平均には種類がある?
移動平均を調べてみると、実はたくさんあります。
ここまでお伝えした移動平均は、単純移動平均といい、SMA(Simple Moving Average)というアルファベット3文字で表されます。
それ以外に、もう2つ。
- 加重移動平均(WMA:Weighted Moving Average)
- 指数移動平均(EMA:Exponential Moving Average)
こちらがあります。他にもありますが、実用性はなさそうなので割愛しますね。
ともかく、株価や気象データを扱うことがない限り、単純移動平均以外の移動平均は覚える必要はないと思いますが、ほかにもあるんだと覚えておくといいかもしれません。
加重移動平均、そして指数移動平均は説明がとても長くなってしまうのですが(どちらも平均を出すまでの計算式が長い)、過去のデータと現在のデータに差をつけるためのものだ、とここでは理解をしておいてください。
どちらも過去のデータは軽いものとみなし、現在のデータを重いものとみなします。例として、体重の変化がわかりやすいかもしれません。20代のダイエットと、40代のダイエットでは、40代のダイエットのほうが厳しいことがわかるでしょう?
20代のときは何気ない運動でもすぐに燃焼しますが、40代では一度ついた脂肪を燃やすために、20代以上の集中トレーニングをしないと燃焼しませんからね。
最新のデータに対しての移動平均値の変化を重要視するため、時間軸によって各移動平均を求める平均値の計算式に「重み」をかけているというわけです。
それでは、移動平均(SMA)から季節調整のお話に進んでまいります。この記事は季節調整に入る前の記事だったのですが、ちょっと脇道に逸れすぎてしまいました。
移動平均については、ここまでにしておきます。
簡単に説明しようとしても、やっぱりこのように長くなってしまいますね。将来的には、加重移動平均や指数移動平均に関する詳しい解説をブログで提供する予定ですので、そのときをお待ちください(書けたときは、ここにリンクが表示されます)。