社員が10人しかいない部署に、200人分の座席とフロア全体を割り当てたら、何が困るでしょうか?
広すぎるフロアには無駄なスペースが生まれますし、全員に一斉放送する館内アナウンスも、無関係な人にまで届いてしまいます。IPネットワークでも、これと同じ問題が起こります。
クラスフルなネットワークは「大きすぎる」ことが多い
前の章で学んだように、クラスCのネットワーク(/24)は254台ものホストを収容できます。しかし実際の部署やオフィスでは、10台・30台・50台程度の小さなグループで運用したいことがほとんどです。サブネッティングとは、1つの大きなネットワークを、プレフィックス長を延長することで複数の小さなネットワーク(サブネット)に分割する技術です。
理由1:IPアドレスの無駄をなくす
/24 のネットワークに10台しか機器がない場合、残りの244個のアドレスは誰にも使われず眠ったままになります。これは、200人分の座席がある部屋に10人しかいないのと同じ「空き部屋」の状態です。組織を複数の部署(サブネット)に分けてアドレスを割り当てれば、必要な数だけを効率よく使うことができます。
理由2:ブロードキャストの範囲を小さくする
ネットワークが大きいほど、そこに属する機器の数も増えます。ブロードキャスト(全機器への一斉送信)は同じネットワーク内の全員に届くため、機器の台数が多いネットワークほど、無関係な通信のノイズ(ブロードキャストトラフィック)が増え、機器の処理負荷も上がります。ネットワークを小さく分割すれば、ブロードキャストが届く範囲も限定され、無駄な通信を減らせます。
理由3:組織構造やセキュリティに合わせて管理できる
サブネットに分けることで、「営業部は192.168.10.0/26」「開発部は192.168.10.64/26」のように、部署やフロアといった組織構造に沿ってネットワークを設計できます。部署ごとにネットワークが分かれていれば、アクセス制御(誰がどこにアクセスできるか)もネットワーク単位で管理しやすくなり、障害が起きたときの影響範囲も限定されます。
サブネット化すると何が変わるのか
サブネッティングの本質は、ホスト部の一部を借りてサブネット部に変えることです。たとえば /24 を2つに分けたいなら、ホスト部から1ビット借りて /25 にします。借りるビット数を増やすほど、作れるサブネットの数は増えますが、1サブネットあたりのホスト数は減っていきます。この「ビットを借りる」という考え方が、次のレッスンで学ぶサブネッティング計算の土台になります。
サブネッティングを行う目的として正しいものを2つ選ぶとしたら、どれでしょう?(IPアドレスの節約/ホスト数を増やすこと/ブロードキャストドメインの縮小/MACアドレスの短縮)
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正解は「IPアドレスの節約」と「ブロードキャストドメインの縮小」です。サブネッティングはホスト部を削ってサブネット部に変えるため、1サブネットあたりのホスト数はむしろ減ります。MACアドレスの長さとは無関係です。
試験でのポイント
CCNA試験では「なぜサブネット化するのか」という目的そのものを問う問題と、実際に計算させる問題の両方が出ます。目的としては「IPアドレスの節約」「ブロードキャストトラフィックの削減」「セキュリティ・管理性の向上」の3点を押さえておきましょう。よくある引っかけは「サブネット化するとホスト数が増える」という誤った選択肢です。実際にはホスト部を削るので、1サブネットあたりのホスト数は必ず減ります。全体としてのアドレス利用効率が上がる、という点を混同しないようにしてください。
/24 のネットワークを分割して /26 にすると、1サブネットあたりの有効ホスト数はどう変化するでしょう?
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/24 のホスト部は8ビット(254台)ですが、/26 はホスト部6ビット(2^6−2=62台)に減ります。サブネット化はホスト部を削ってサブネット部に回す作業なので、1サブネットあたりのホスト数は必ず減少します。その代わり、作れるサブネットの数は増えます。
広すぎる部屋には無駄が生まれるし、一斉放送も無関係な人まで巻き込んじゃう。サブネッティングは、それを防ぐための「ちょうどいいサイズに区切る」技術なんだね。次はいよいよ実際の計算手順、マジックナンバー方式でサブネッティングを解いていくよ。