プレゼンに役立つ基本的なフレームワーク
PowerPointの指導では、テキストに基づいた操作方法の指導がメインとなってしまうのですが、個人的には操作方法よりも大事なのは、発表の仕方だと思っています。
Word研修をクリアすれば、PowerPointの操作は誰でもできるようになりますからね。ここでは、プレゼンに役立つ基本的なフレームワークをメモ書きしておきます。
プレゼンのフレームワーク
フレームワークという言葉を日本語訳すると、枠組みと言い換えることができます。つまり、その枠に当てはめるだけで60点ぐらいの及第点が取れる攻略方法です。
もちろん、話すタイミングや場面によっては、そういう型にこだわらないほうがいい場合もありますが、私のように口下手な人間には最善のテクニックというわけです(研修講師はセミナー講師と話し方がそもそも違うので、私自身いつも参考にしています)。
- PREP法
- SDS法
- BEAF法
- STAR法
- TED版PREP法
この5つの方法をご紹介しますね。
PREP法
- 読み方: PREP(プレップ)
- 略語: Point → Reason → Example → Point
- カタカナ読み: ポイント・リーズン・イグザンプル・ポイント
- 意味: 要点 → 理由 → 事例 → 要点
自己紹介で、キャンプが好きだ、ということをPREP法に則ってまとめてみましょう。
- Point(結論)
- 私はキャンプが好きです。
- Reason(理由)
- もともとスキューバーダイビングが趣味でしたが、緑内障予備軍と診断されてしまい、海に潜れなくなってしまいました。
- Example(具体例)
- それでもアウトドアが好きだったので、「ゆるキャン△」というアニメを見て、これなら自分でもできると思ったんです。
- Point(再主張)
- 今では月に1〜2回、キャンプに行くほどハマっています。
SDS法
- 読み方: SDS(エス・ディー・エス)
- 略語: Summary → Details → Summary
- カタカナ読み: サマリー・ディテール・サマリー
- 意味: 要点 → 詳細 → 要点
歯医者さんに行く大切さを訴えてみます。
- S(要点)
- 歯医者さんには必ず行くようにしています。
- D(詳細)
- 誤食性肺炎でなくなる高齢者は、口腔環境が悪いことが多いので、そのため肺炎を引き起こすことを知りました。 私の知り合いも、歯から細菌が入って病気を発症し、2週間の入院を余儀なくされました。
- S(要点)
- 口腔環境というものは、非常に重要だということに気づいたわけです。 だから私は、3か月に1回は歯医者さんに行くようにしています。高いけどね。
BEAF法
- 読み方: BEAF(ビーフ)
- 略語: Background → Evidence → Analysis → Forward
- カタカナ読み: バックグラウンド・エビデンス・アナリシス・フォワード
- 意味: 背景 → 証拠 → 分析 → 展望
こちらは学術系などで用いられるテクニックです
- B(背景)
- 新型コロナウイルスから、全世界の動きが変わり始めました。
- E(証拠)
- ロシアウクライナ戦争は勃発し、パレスチナ問題のイスラエル・ガザ戦争は激化、さらにはアメリカの鎖国貿易が始まりつつあり、不安材料が少しずつ増えている側面があります。
- A(分析)
- 株価が下がってきたということを踏まえると、経済の混乱は今年一年避けられないだろうと分析します。
- F(展望)
- 特に日本は災害大国です。私たち一人ひとりが、今できることを丁寧に積み重ねることが、未来への備えになります。
STAR法
- 読み方: STAR(スター)
- 略語: Situation → Task → Action → Result
- カタカナ読み: シチュエーション・タスク・アクション・リザルト
- 意味: 状況 → 課題 → 行動 → 結果
分析などの発表では、このSTAR法をよく使いますね。
- S(状況)
- うちのお店の平均単価って880円くらいなんです。
- T(課題)
- でも、今のエネルギー価格や輸送費を考えると、1,000円台にしたい。これが課題です。
- A(行動)
- どういう人が1,000円以上買ってくれるのかを分析したら、『滞在時間』に注目すべきとわかりました。
- R(結果)
- 結果、2分以内に商品を決めたお客さんほど、単価が高い傾向にありました。逆に、長く悩む人ほど金額が下がっていたんです。
- そこで今後は、2分以上滞在しているお客さんを見つけたら、積極的に声をかけて、購買単価アップにつなげていこうと思っています。
PREP法の改良版(TED風)
フレームワークを改良した事例です。TEDでは、PREP法のEのところが、事例ではなく感情を揺さぶるようなしゃべり方を求められます。
通常のPREP
- 私はランニングが健康にいいと思います。
- なぜなら有酸素運動によって心肺機能が向上するからです。
- たとえば、週に3回のランニングを半年続けた人の血圧が改善されたというデータがあります。
- だから私は、ランニングは健康にいいと思います。
TED風PREP
- 私はランニングが健康にいいと思います。
- なぜなら、人生で一番苦しかったときに、救ってくれたのが走ることだったからです。とにかく私はつらいときほど、走りました。
- 午後6時の夕食前に外に出て、息を切らしながら走っていると、「自分はまだやれる」と思える瞬間を必ず感じることができたからです。ランニングは、いつも私の不安を打ち消してくれました。
- だから私は、ランニングは心と体の両方を強くしてくれると思うんです。
このアレンジも、印象ががらりと変わりますよね。
まとめ
- PREP法
- 短い自己紹介やSNS投稿など、簡潔に伝えたい場面で。要点をはっきり伝えたいときに最適。論理的かつコンパクトに話をまとめられます。
- SDS法
- 聞き手の記憶に残したい場面や、印象づけたい短時間プレゼンで。要点を繰り返すことで、聞き手に強く印象づけたいときに効果的です。
- BEAF法
- 論文、ビジネス提案などロジカルに話す場面で。背景から分析、今後の展望まで筋道を立てて話す必要がある場面で活躍します。
- STAR法
- 就職面接や報告書、成果発表に最適。具体的な行動や成果を示したいときに使えるフレームワーク。経験を語る場面で特に効果的です。
以上が、プレゼンに役立つフレームワークでした。プレゼンの学習をすると、必ず教わるフレームワークなのですが、意外と定着できていません。
スライドタイトルを作り出して、今日の目次を作り始めたら、やっぱり先頭からプレゼン資料を作り出してしまうんですよね。
必ずフレームワークに則って、全体の構成を考えるところからスタートすること。
私自身も、セミナーを開催する機会にまた恵まれたら、発表者としては全くの素人なので、このフレームワークを忠実に守ってスライドを作ろうと思います。