ABS(アブソリュート)関数の使い方
ABS(アブソリュート)関数は、基準点からどれだけ離れているか(ずれているか)の絶対値を求めてくれる関数です。出力結果は必ず正の数になります。
【構文】
=ABS(数値)
【使用例】
- =ABS(B2-C2)
セルB2からセルC2を引き算した結果の絶対値を返します。 - =ABS(3-10)
数値「3」から「10」を引き算した絶対値を返します。答えは「7」となります。
[char no=”1″ char=”さえちゃん1”]数学で |-8| なんて書き方をしたの覚えていますか? 絶対値というキーワードを習うのは、中学1年生の数学です。基準からの距離を示しているため、負の数は存在しない値となります。今日が気温20℃で、明日の気温が今日よりも10℃低かったら、「昨日よりも10℃低い」で通じますよね。「昨日よりもー10℃低い」で通じないことはなさそうですが、落ち着いて考えてみると、-10℃は、氷点下10℃を指します。そのため、20℃から-10℃は、30℃分の距離があるので、「昨日よりも30℃低い」とイコール関係が成立してしまい、変な意味になってしまいます。[/char]
関数説明
新型コロナウイルスが蔓延したとき、自分自身のデータ分析の材料として、以下のような表で独自に感染者数を追っていました。
ABS関数では、そちらのデータをご紹介します。
実測値と、数式で出力した予測値とのズレを追い、予測値の精度を測っていました。予測値からのズレ幅から「曜日単位のズレ」「異常値」が見えますからね。
感染者数-予測値より、ズレを計算します。
ただ、普通に計算してしまうと、正・負のデータとなってしまいます。
予測値からどれだけのズレ(距離)があるのか? ズレのばらつき(標準偏差)をみる場合、負の数がどうしても邪魔になるのです。そこでABS関数を使いましょう。
ABS関数は[数式]タブ→関数ライブラリの[数学/三角]のカテゴリーの中で1番先頭にいます。
引数内で引き算を行います。
答えは正の数なので、通常の引き算と変わりありません。
オートフィルでデータを流してみましょう。
これで負の数が消えて、予測値とどれだけのズレがあるのか? を確認することができました。このように、負の数をABS関数は正の数に変換してくれる関数で、データ分析には重宝します。
さえちゃんのABS関数ワンポイントアドバイス
[char no=”4″ char=”さえちゃん3”]単純に距離を求めてくれる(負の数を正の数に変換する)ABS関数にワンポイントというのはないのだけど、これは管理人さんの感想で、新型コロナウイルスが蔓延して全体像がつかめなかったときに把握できた関数なので、これは思い出深い関数でしたとのこと。あまりこういう分析が必要ない世の中になるといいですね。[/char]
上記説明の「ズレ」データだけでは「?」というイメージがあるかと思いますが、Excel講師として2020年のまん延初期はどうなっていたのか?
対面式講座を開催するかどうかの判断基準として、こんな表を作っていました(今はもう来るところまで来てしまったので、分析を止めています)。
検査数の分母がわからないので、常にこのデータとの信憑性と向かいあう日々が続いていましたが、ABS関数のズレから標準偏差を求め、予測値からの+-の幅を設けて、感染爆発がくるのか収束しているのかをずっと追うことができました。
分析で大事なのは、いまあるデータをどう加工して読み取り、そして自己責任の範囲で行動するか? 2020年はとてもいい経験ができました。
関数ステータス
関数ライブラリの種類
数学/三角
数式の構文
=ABS(数値)