物価とインフレ率

Consumer Price Index

物価は「買い物かごの平均」 ― CPIというものさし

日本にはどれくらいのお金があるのかで、お金の量が増えすぎると物価が上がる、という話をしました。では、その「物価」は、どうやって数字として測られているのでしょうか。

キャベツ1個の値段が上がっても、それだけでは「物価が上がった」とは言えません。物価とは、世の中の値段の全体的な水準のことです。この物価を測るために、総務省は毎月、食料品・衣料品・家賃・電気代・通信費など、暮らしに関わる多数の品目の値段を調べています。この統計をまとめたものが消費者物価指数(CPI。総務省が毎月、多数の品目の価格を調べて作る、物価の動きを表す指数)です。

イメージとしては、毎日の買い物で使う「買い物かご」の中身を、まるごと1つの数字に置き換えるようなものです。CPIは2020年を基準の100として、そこから物価全体がどれだけ上がった(または下がった)かを表します。たとえば指数が111.9であれば、2020年に100円だったものが、平均しておよそ111円90銭になったイメージです。

2025年は+3.2%だった ― 数字で確かめる

実際の数字を見てみましょう。CPI総合指数は、2025年平均で111.9となり、前年比で+3.2%の上昇でした(総務省、2025年平均)。生鮮食品を除いた総合指数でも111.2、前年比+3.1%と、ほぼ同じ水準の上昇です。

指標出典・時点
CPI総合・2025年平均111.9(前年比+3.2%)総務省、2025年平均
CPI生鮮食品を除く総合・2025年平均111.2(前年比+3.1%)総務省、2025年平均
CPI総合・2026年6月113.6(前年同月比+1.7%)総務省、2026年6月

直近の2026年6月を見ると、指数そのものは113.6と2025年平均より高い水準にありますが、前年同月比の上昇率は+1.7%に縮んでいます。指数の水準は上がり続けている一方で、上昇の勢い(伸び率)は落ち着きつつある、という2つの見方ができる数字です。

「生鮮食品を除く」のはなぜか ― コア指数という呼び名

表の中に「生鮮食品を除く総合」という指標がありました。野菜・魚・果物といった生鮮食品は、天候不順や不漁が起きると、他の品目に比べて値段が短期間で大きく上下します。台風でキャベツが高騰しても、それは物価全体の基調(じわじわとした流れ)を表すとは限りません。

そこで、値動きの荒い生鮮食品をあえて除いた指数を別に作り、物価の基調をつかみやすくしています。この生鮮食品を除いた指数は、コア指数(生鮮食品など値動きの荒い品目を除いた、物価の基調を見るための指数)とも呼ばれます。ニュースで「コアCPI」という言葉を見かけたら、この指数のことだと考えて構いません。

総合指数とコア指数の両方を並べて見ることで、「一時的な値動きなのか」「じわじわ続く流れなのか」を見分けやすくなります。

もっと深く ― 体感物価とCPIがずれる理由DEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。

「物価はもっと上がっている」と感じるのはなぜか

CPIの上昇率を見て、「自分の実感より低い数字だ」と感じたことはないでしょうか。これは珍しいことではありません。CPIは、家賃・家電・教育費なども含めた幅広い品目の平均です。一方、私たちが日々の買い物で強く意識するのは、食料品や日用品など、頻繁に買うものの値段です。

電気代やスマホ代のようにあまり値段を意識しない支出は、実際には家計に占める割合が大きくても、値上がりを実感しにくいものです。逆に、卵や野菜のように頻繁に買うものは、少しの値上がりでも敏感に気づきます。よく買うものほど値上がりが記憶に残りやすいため、体感の物価上昇率は、統計上のCPIより高く感じられがちです。

どちらが正しい、という話ではありません。CPIは社会全体の平均を、体感は自分の買い物パターンを、それぞれ映し出しています。ニュースの数字と自分の実感がずれていても、それ自体は自然なことだと知っておくと、数字の受け止め方が変わってきます。

考えてみるTHINK
Q1

自分がよく買うもの3品の値段は、この1年でどれくらい変わったでしょうか?

ヒント: レシートやスーパーアプリの購入履歴を、さかのぼって見比べてみましょう。

Q2

物価上昇率が+3.2%から+1.7%に縮んだら、「物価は下がった」と言えるでしょうか?

ヒント: 「上昇率が縮む」ことと「物価そのものが下がる」ことの違いを、数直線をイメージして考えてみましょう。

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