最低賃金

Minimum Wage

最低賃金1,121円 ― 過去最大の引き上げ

最低賃金(法律で定められた、これを下回って働かせてはならない時給の下限)は、都道府県ごとに毎年見直されています。2025年度の全国加重平均は1,121円で、前年からの引き上げ額は66円と、過去最大の上げ幅になりました(厚生労働省、2025年度)。

今回の引き上げで、初めて47都道府県すべてで最低賃金が1,000円を超えました。もっとも高いのは東京都の1,226円、もっとも低い県で1,023円です。地域によって差はあるものの、「1,000円未満」という水準そのものが、日本の労働市場から姿を消したことになります。

区分時給
全国加重平均(2025年度)1,121円
前年からの引き上げ額+66円(過去最大)
最高(東京都)1,226円
最低1,023円

出典: 厚生労働省、2025年度

誰の賃金の話か ― パートやアルバイトだけの話ではない

最低賃金と聞くと、パートやアルバイトなど、時給で働く人だけに関係する数字だと思われがちです。たしかに、もっとも直接的な影響を受けるのはこうした働き方の人たちです。しかし、話はそこで終わりません。

ある職場で、いちばん時給の低い人の水準が引き上げられると、その少し上の時給で働いている人との差が縮まってしまいます。この差を保つために、企業が上の層の賃金も一緒に見直すことがあります。こうして、最低賃金の引き上げは、最低賃金ぎりぎりで働く人だけでなく、賃金体系全体を底上げする方向に波及することがあります。正社員の初任給の設定にも、間接的に影響を及ぼす場合があります。

引き上げの光と影

最低賃金の大幅な引き上げには、良い面と、心配される面の両方があります。どちらか一方だけが正しいというテーマではありません。

良い面としてよく挙げられるのは、働く人の暮らしを直接支える効果です。物価が上がっている局面では、賃金の下限そのものが引き上げられることで、収入がまったく増えない状況を避けやすくなります。パートや非正規で働く人にとっては、賃上げ交渉の機会が少ない中で、収入が確実に増える数少ない仕組みでもあります。

一方で、心配される面として挙げられるのが、人件費の負担が重い企業への影響です。とくに、飲食業や小売業など、パート比率が高く利益率の薄い中小企業では、人件費の急な増加が経営を圧迫しかねません。その結果として、雇用の抑制や、商品・サービスの価格転嫁(値上げという形でコスト増を販売価格に反映すること)につながるのではないか、という懸念も示されています。

もっと深く ― 最低賃金はどう決まるかDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。

国が示す「目安」

最低賃金の見直しは、まず国の中央最低賃金審議会が、経済の状況をふまえて都道府県を4つほどのランクに分け、それぞれの引き上げ額の「目安」を示すところから始まります。

都道府県ごとの決定

この目安をもとに、各都道府県の地方最低賃金審議会が、地域の実情を踏まえて実際の金額を決定します。東京都の1,226円と、もっとも低い県の1,023円という差は、この2段階の仕組みの中で、地域の物価水準や賃金相場の違いが反映された結果です。

考えてみるTHINK
Q1

時給1,121円でフルタイムで働くと、月収・年収はいくらになるでしょうか? 計算してみましょう。

ヒント: 1日8時間・週5日・週40時間で1か月を4週として、時給×労働時間で月収を出し、12倍すると年収になります。

Q2

最低賃金を大きく引き上げると、良いことと心配なことが、それぞれどんな人に起きるでしょうか?

ヒント: 「引き上げの光と影」で見た、働く人の側の効果と、雇う側の企業の負担を、それぞれ思い出してみましょう。

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