日本の人口はこれからどうなるのか

Population Future

ここまで、総人口が年間およそ60万人のペースで減っていること、高齢化率29.4%が意味するもの、生産年齢人口の先細り、そして少子高齢化とGDP・社会保障への効き方を見てきました。最後に、この章の入口でもあった問い、「日本の人口はこれからどうなるのか」に、あらためて数字で向き合います。

50年後の推計図

国立社会保障・人口問題研究所は、5年に一度、日本の将来の人口を推計しています。最新の令和5年推計によると、2070年の日本は、総人口およそ8,700万人、高齢化率38.7%、生産年齢人口(15〜64歳)はおよそ4,535万人になると見込まれています。

現在の数字と並べてみると、変化の大きさがわかります。

項目現在2070年推計
総人口約1億2,295万人約8,700万人
高齢化率29.4%38.7%
生産年齢人口約7,350万人約4,535万人

出典: 総務省「人口推計」2026年1月1日現在(概算値)、内閣府「高齢社会白書」2025年10月時点、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」令和5年推計

50年足らずで、総人口はおよそ3割減り、高齢化率はおよそ10ポイント上がる計算です。支え手が2.1人から1.3人へ変わっていくという変化も、この推計の延長線上にあります。

推計は「予言」ではない

「2070年に総人口8,700万人」と聞くと、すでに決まった未来のように感じるかもしれません。しかし、この数字は当たるか外れるかの占いではなく、計算の結果です。将来推計人口は、出生(子どもがどれくらい生まれるか)・死亡(どれくらいの年齢まで生きるか)・国際移動(海外との人の出入りがどれくらいあるか)という3つの前提を組み合わせて計算されます。

この3つの前提は、いずれも将来の話である以上、確定した事実ではありません。出生率が想定より上がれば、あるいは外国からの入国が想定より増えれば、推計の数字も変わります。「2070年8,700万人」は、現時点でもっともありうると考えられる前提を置いたときの計算結果であって、変えようのない運命ではありません。

それでも人口推計が「当たりやすい」理由

一方で、人口推計には、他の経済予測にはない強みがあります。それは、将来の人口の多くが、すでに生まれているという事実です。たとえば2070年に50歳になる人は、2020年時点ですでに生まれています。この年齢層の人数がこれから大きく変わることはありません(あとは死亡や海外への移住によって、多少増減する程度です)。

これに対して、GDPの成長率や為替レートの将来予測は、まだ起きていない人々の行動や、政策判断、海外情勢に大きく左右されます。人口推計は、少なくとも「すでに生まれている人の数」という部分については、他の経済予測より確実な土台の上に立っているのです。もちろん、新たに生まれてくる子どもの数(出生の前提)については、この確実さは当てはまりません。

もっと深く ― 推計の幅を見るDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。

1つではなく、3つのシナリオ

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口は、実は1本の数字ではありません。出生率などの前提を変えた高位・中位・低位(前提となる出生率や死亡率を高め・標準・低めに置いた、複数の推計シナリオ)という推計が用意されており、ニュースなどで紹介される「2070年8,700万人」は、このうち中位(もっとも標準的とされる前提)の推計です。

中位推計だけを「予言」として読まない

高位推計では出生率が想定より高めに、低位推計では低めに置かれており、それぞれ人口の減り方が異なります。ニュースで見る一つの数字だけを未来の確定事項として受け取るのではなく、その数字が幅の中のどのあたりに位置するシナリオなのかを意識すると、推計との付き合い方が少し変わってきます。

考えてみるTHINK
Q1

2070年、自分は何歳になっているでしょうか。そのときの日本の姿を、このページで見た推計の数字で描いてみてください。

ヒント: 総人口・高齢化率・生産年齢人口の3つの数字を使って、自分の暮らす社会を想像してみましょう。

Q2

「出生率が回復すれば、人口減少はすぐに止まる」という考え方は正しいでしょうか?

ヒント: 人口の慣性という考え方です。「それでも人口推計が当たりやすい理由」で見た、すでに生まれている人の数の話を思い出してみましょう。

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