日本の人口はどう変わっているのか
Population Trendsここまで、お金の量や資産、金利といった数字を見てきました。ここからは、経済を動かすいちばんの土台である「人」の数、つまり人口に目を向けます。日本の人口は今、どんなペースで、どのように変わっているのでしょうか。
毎年、県ひとつ分が消えるペース ― 総人口1億2,295万人の今
総務省が公表している人口推計によると、2026年1月1日現在の日本の総人口はおよそ1億2,295万人です(総務省「人口推計」2026年1月1日現在・概算値)。前の年と比べると、およそ60万人、率にしてマイナス0.49%の減少です。
60万人という数字は、そのまま聞いても実感が持ちにくいかもしれません。日本には、人口60万人前後の県がいくつもあります。中規模の県にあたる人数がまるごと1つ、毎年、日本の人口から静かに姿を消していく。それくらいのペースで、総人口は減り続けているということです。
しかもこれは、今年だけの出来事ではありません。日本の人口はここ数年、毎年、前の年を下回り続けています。1年だけの落ち込みではなく、何年も積み重なってきた減少です。
人口の減り方は、全国どこでも一律というわけではありません。都市部では人口がほぼ横ばい、あるいは増えている地域がある一方で、地方では減少のペースがより速い地域もあります。全国の数字だけでなく、自分の住む地域がどちらの傾向に近いかを知っておくと、ニュースの数字と自分の実感とのズレが小さくなります。
人口は、単なる「人数」にとどまりません。一人当たりGDPのように、経済の大きさを人口で割って初めて見えてくる指標も少なくありません。人口の動きを追いかけることは、さまざまな経済指標の土台を追いかけることでもあります。
出生数67万1,236人 ― 10年連続で過去最少
人口が減っていく大きな要因のひとつが、生まれてくる子どもの数です。2025年の出生数は67万1,236人で、10年連続で過去最少を更新しました(厚生労働省「人口動態統計」2025年)。
1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値を表す合計特殊出生率(15〜49歳の女性の年齢別出生率をもとに算出する指標)も、2025年は1.14と過去最低の水準です(厚生労働省、2025年)。
半世紀ほど前の日本では、生まれてくる子どもの数はもっと多く、学校の教室にも子どもがあふれていた時代でした。そこから今日まで、出生数は長い時間をかけて減り続けてきました。10年連続で過去最少という数字は、その流れが今も止まっていないことを示しています。
出生率1.14という数字は、1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値が、人口を維持するために必要とされる水準を大きく下回っていることを意味します。子どもの数が親の世代を下回る状態が続けば、次の世代、そのまた次の世代へと、人口はさらに小さくなっていく計算になります。
今日生まれる子どもの数は、遠い将来の話ではありません。その子どもたちが大人になり、働き手や親になっていく数十年先の人口の形を、静かに決めていく数字でもあります。
静かに増えているもの ― 外国人人口と婚姻数
人口全体は減っていますが、すべての数字が減っているわけではありません。日本に住む外国人人口は約369万人で、前の年からおよそ32万人増え、増加傾向が続いています(総務省「人口推計」)。
外国人人口が増えている背景には、留学や就労など、さまざまな形での来日があります。理由や制度の詳細は多岐にわたりますが、日本で暮らし、働く外国人の数が増えているという事実そのものは、人口の数字にはっきりと表れています。
婚姻数にも、小さな変化の芽があります。2025年の婚姻数はおよそ48.9万組で、2023年の47.5万組を底に、わずかながら増加傾向にあります(厚生労働省)。婚姻数の動きは、その先の出生数にもつながっていく数字として注目されています。
| 項目 | 値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 総人口 | 約1億2,295万人(前年比マイナス60万人) | 総務省「人口推計」2026年1月1日現在 |
| 出生数 | 67万1,236人 | 厚生労働省「人口動態統計」2025年 |
| 合計特殊出生率 | 1.14 | 厚生労働省、2025年 |
| 外国人人口 | 約369万人 | 総務省「人口推計」 |
| 婚姻数 | 約48.9万組 | 厚生労働省、2025年 |
人口全体が減る一方で、年齢の構成にも大きな変化が起きています。日本の総人口に占める65歳以上の割合は、2025年10月時点で29.4%です。この数字の中身は、高齢化率29.4%とはで詳しく見ていきます。
ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。
出生数は「できごと」の記録
ここまで見てきた出生数や婚姻数は、厚生労働省の人口動態統計(出生・死亡・婚姻・離婚といった、戸籍などに基づく「できごと」を1件ずつ積み上げて集計する統計)という統計から来ています。実際に起きた出来事を、もれなく数え上げたものです。
総人口は「今の姿」の推計
一方、総人口1億2,295万人という数字は、総務省の人口推計(国勢調査を土台に、その後の出生・死亡・国内外への移動を毎月足し引きして、今の人口の姿を推計する統計)という別の統計から来ています。5年に1度の国勢調査という土台に、毎月の変化を積み重ねて作られる推計値です。
「できごとを数えた統計」と「今の姿を推計した統計」。この2つの一次資料の性格の違いを知っておくと、人口のニュースを読むときに、今どちらの話をしているのかを見分けやすくなります。
誰でも確かめられる数字
どちらの統計も、誰でも自由に確認できる一次資料です。総務省の人口推計も、厚生労働省の人口動態統計も、e-Stat(政府統計の総合窓口)で公表されており、都道府県別・年齢別といった細かい単位まで数字をたどることができます。次の国勢調査は5年に1度実施され、そのたびに人口推計の土台となる数字が更新されます。ニュースで見た数字の出どころを、自分で確かめてみるのもよい練習になります。
自分の住む市区町村の人口は、10年前と比べてどうなっているでしょうか?
ヒント: 市区町村のホームページや「〇〇市 人口推移」といった検索で、公表されている統計を確認できます。
出生数のニュースを見たとき、何と比べれば「多い・少ない」を判断できるでしょうか?
ヒント: 前年との比較、10年前との比較、他の年との比較など、比べる相手によって受ける印象が変わることを考えてみましょう。