コミュニケーション手段の変化
Communication Historyコミュニケーション手段の変化 ― 「集団」から「個」へ、そして常時接続へ
人と人が情報をやり取りする手段は、時代とともに大きく変化してきました。手紙・新聞・電話・蓄音機・映画といった初期の手段は、情報のやり取りに時間がかかるものでした。ラジオとテレビの登場によって、出来事を集団でよりリアルタイムに共有できるようになります。さらにインターネットが普及すると、出来事を個人単位でよりリアルタイムに共有できる時代になりました。そしてスマートフォンの登場によって、私たちは常にリアルタイムで情報をやり取りできる状態になっています。
考えてみましょう ― この先、コミュニケーション手段はどう変わっていくと思いますか。「電話 → コードレス電話 → ポケベル → PHS → 携帯電話 → スマートフォン」という流れの続きを、想像力を膨らませて考えてみてください。「求めなくても、情報が自動的に手に入るようになる」という方向に進むのか、それとも「便利さを突き詰めた末に、あえて原点回帰する」方向に進むのか。数年前に広まったオンラインでの会食のような新しい習慣も、この延長線上にある変化のひとつだといえます。
アラブの春 ― サイバーセキュリティということばが生まれた背景
2010年末から中東・北アフリカ地域で相次いだ民主化運動は、「アラブの春」と呼ばれています。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス。個人同士が情報を発信し合う交流サービス)の普及によって、それまで情報統制下にあった人々が国境を越えて情報を共有できるようになり、各地で独裁政権が次々と崩壊していきました。
この出来事は、インターネットという開かれた空間にも治安を守るための仕組みやルール作りが必要だという認識を、国際社会に強く印象づけました。サイバーセキュリティ(インターネットなどのサイバー空間における安全を守るための考え方や対策)ということばは、この頃から国際的に使われるようになっていったといわれています。詳しくは総務省の情報通信白書で確認できます。
ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。でも、コミュニケーション手段の変化を「構造」として見てみたい方には、面白い話です。
マスメディアは「一対多」の仕組みだった
ラジオやテレビは、放送局という一つの発信源から、多くの受け手に向けて同じ情報を届ける「一対多」の仕組みでした。集団で出来事をリアルタイムに共有できるようになったのは、この一対多の仕組みが確立されたからです。受け手は情報を受け取るだけで、発信する側にはなれません。
インターネットは「多対多」の仕組みを実現した
インターネット、そしてSNSは、この構造を大きく変えました。誰もが発信者になれる「多対多」の仕組みが実現したことで、個人が出来事をリアルタイムに共有できるようになったのです。アラブの春で、一般の人々の発信が独裁政権を揺るがすほどの力を持ったのは、この「多対多」への転換があったからこそです。
力を持つと同時に、責任も持つ
誰もが発信者になれるということは、誰もが情報の影響力を持てるようになったということでもあります。この力は、次のレッスンで見ていくネットコミュニケーションの特徴(記録性や匿名性)とも深く関わってきます。
教室のひとこま
最後に、このテーマを教えるとき、教室でよく交わされるやりとりを。
講師
講師「電話 → コードレス電話 → ポケベル → PHS → 携帯電話 → スマートフォン」という変遷を黒板に書き出すと、教室の年齢構成がはっきり見える瞬間があります。この先に何が来るかを想像してもらう時間は、毎回、思いがけない意見が出て盛り上がります。