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Data Analysis

平均値と中央値のずれ

「平均」という言葉は、実感とずれることがあります。次のグラフは、総務省統計局が調査した、世帯ごとの貯蓄現在高の分布です。

世帯の貯蓄現在高階級別の分布グラフ。平均値1984万円と中央値1189万円の位置がずれている
世帯の貯蓄現在高階級別分布(二人以上の世帯、2024年)
出典: 総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)2024年」

このデータでは、平均値(すべての値を合計し、件数で割った値)が1984万円であるのに対し、中央値(データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値)は1189万円と、大きな差があります。

なぜこれほどずれるのでしょうか。グラフを見ると、貯蓄4000万円以上の世帯が全体の約1割ほど存在しています。ごく一部のこうした高額な世帯が、平均値を大きく引き上げているのです。一方、中央値は「真ん中に来る値」を見ているだけなので、こうした一部の極端な値に引きずられません。「平均以下の世帯が多数派」という状況は、この仕組みで起こります。ひとつの代表値だけを見て「平均的な世帯はこうだ」と判断すると、実態を見誤ることがある、という例です。

ロト6で仮説を立ててみる

考えてみましょう ― 過去のロト6の当選番号一覧(講座では配布します)を見ながら、6つの番号の組み合わせを5組、自分なりに作ってみましょう。ただし、当てずっぽうで選ぶのではなく、「なぜその番号を選んだのか」という根拠を、それぞれの組み合わせに添えてください。過去に出た回数が多い番号を選ぶのか、しばらく出ていない番号を選ぶのか、数字の並びに規則性を見出すのか——どんな根拠でも構いません。

この演習の狙い ― 独立した抽選と、ビジネスの仮説検証

ロト6は、各回の抽選番号がそれぞれ独立しています。つまり、前回までにどんな番号が出ていたとしても、次の回の当選確率にはいっさい影響しません。ですから、この演習で皆さんが立てたどの仮説も、「確率的に間違っている」ということはなく、すべて等しく正しい仮説として扱うことができます。

では、この演習にはどんな意味があるのでしょうか。普段のビジネスの現場でも、私たちは手元のデータから傾向を見つけ、仮説を立て、それを検証し、反省する、というサイクルを繰り返しています。ロト6の当選番号という、答えのない題材を使って、この一連の流れを体験してみよう、というのがこの演習の狙いです。「当てにいく」ことよりも、「根拠を持って仮説を立てる」というプロセスそのものを体験してください。

参考数値

ちなみに、ロト6で1等が当たる確率は、次のとおりです。

項目数値
1等の当選確率1 / 6,096,454(約0.0000164%)
全通りを購入した場合の総額12億1929万800円
1等が当たる頻度の目安約609万回に1回
毎週1回買い続けた場合平均で約11万年に1回
それでも、これまでの累計当選口数約3,500口以上
1回の抽選あたりの平均当選人数1.7人
1等の当選者が出なかった回約1,300回近く

1回あたりの当選確率は極めて低い一方で、繰り返し行われる抽選全体で見ると、これまでに3,500口以上の当選が出ています。個々の確率の低さと、繰り返しの中で実際に起こっている頻度は、別の話として捉える必要がある、という感覚をつかんでもらえればと思います。

もっと深く ― 「平均以下」は珍しくないDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。でも、平均値と中央値のずれに興味を持ち始めた方ほど「そうだったのか」となる話です。

分布が偏っているとき、平均値は「代表値」になりにくい

貯蓄現在高のように、一部の極端に大きな値が存在するデータでは、平均値は「多くの人の実感」からずれた値になりがちです。このようなデータの分布は、統計の世界では歪んだ分布と呼ばれます。所得や資産のように、上限がなく一部にとても大きな値が存在しうるデータでは、こうした歪みがよく見られます。

だから、平均値と中央値は「両方」見る

平均値だけを見て「平均的な状態」を語ってしまうと、実態を見誤ることがあります。逆に中央値だけでは、極端に大きな値の存在に気づけません。ニュースなどでデータの代表値を目にしたときは、それが平均値なのか中央値なのかを意識するだけでも、データの読み方は大きく変わります。

教室のひとこま

最後に、このテーマを教えるとき、教室で毎回のように交わされるやりとりを。

受講者
前の回でよく出た番号を選べば、次も出やすいんじゃないんですか?
講師講師
気持ちはよくわかりますが、各回の抽選は独立しています。前回までの結果は、次の回の確率に影響しません。でも、それでも「よく出る番号を選ぶ」という仮説自体は、否定できるものではないんです。それがこの演習の面白いところです。
受講者
結局、当たる根拠なんてどれも同じじゃないですか。仮説を立てる意味、あります?
講師講師
意味は「当てること」ではなく、根拠を持って仮説を立て、検証する練習をすることにあります。ビジネスの現場でも、正解が最初からわかっているデータなんてほとんどありません。ロト6は、それを気軽に体験できる、いい題材なんですよ。
講師メモ ― 現場から

ロト6の演習は、研修の中でも特に盛り上がる時間です。数字を選ぶ理由を発表してもらうと、驚くほど多様な根拠が出てきます。「正解がない演習」だからこそ、みなさん遠慮なく自分の考えを話してくれます。

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