情報化と私たちの生活の変化

Life with IT

私たちの生活の変化

10年前といまを比べると、私たちの生活はどれくらい変わったでしょうか。動画配信サービスで映画やドラマを見るのが当たり前になり、スマートスピーカー(音声で操作できるAI機器)が家庭に溶け込み、ChatGPTのような対話型AIが日常の話し相手になる——そんな変化が、ここ数年で一気に進みました。

便利になった一方で、情報に触れている時間そのものが増え続けているのも事実です。意識して情報から距離を置く時間をつくるデジタルデトックス(デジタル機器から離れて、心身を休めること)を、どう生活に組み込むかも、これからの課題になっています。自分がどれくらいインターネットに依存しているか気になる方は、久里浜医療センターが公開しているインターネット依存度テストのようなチェックで、一度振り返ってみるのもよいでしょう。AI時代に入ったいま、この生活の変化はこれからも続いていくはずです。

コラム ― AIが、まだ苦手なこと

2026年現在、AIは2次元の世界を扱うことは得意になってきましたが、3次元の世界はまだ苦手な部分がたくさん残っています。たとえば洗濯物。AIを搭載したロボットは、まだ洗濯物をきれいに畳めるところまでは至っていません。もしロボットが洗濯物を畳めるようになったら——それは人間にしかできない作業が、また一つ減る合図なのかもしれません。

もっと深く ― なぜAIは「考える」より「畳む」のが苦手なのかDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。でも、AIのニュースをよく見る方ほど「そうだったのか」となる話です。

チェスや将棋には勝てるのに、コップはうまくつかめない

AIはすでにチェスや将棋、囲碁のようなゲームで人間のトップ棋士に勝てるまでになりました。ところが、コップをつかむ、服を畳む、といった人間なら誰でもできる動作は、いまだにAIやロボットにとって大きな難関です。この一見不思議な現象はモラベックのパラドックス(高度な論理的思考は機械にとって簡単だが、基本的な知覚や運動のスキルは逆にとても難しい、という考え方)と呼ばれています。

洗濯物が難しい理由

チェスの盤面は、駒の位置という限られた情報だけで完結する、いわば整った世界です。一方、布のように柔らかく、形が決まっていないものをつかんで畳む作業には、力の加減、布の重なり方、次の瞬間どう変形するかの予測など、現実世界の曖昧な情報を大量に処理する必要があります。人間は無意識のうちにこれをこなしていますが、機械にとっては膨大な計算が必要な、実はとても高度な作業なのです。

教室のひとこま

最後に、このテーマを教えるとき、教室で毎回のように交わされるやりとりを。

受講者
10年前と比べて、いちばん変わったと感じるのって何だと思いますか?
講師講師
「話しかける相手」が増えたことだと思っています。スマートスピーカーにも、AIにも、以前なら考えられなかった相手に話しかける生活になりましたよね。
講師メモ ― 現場から

このテーマを扱うと、受講者どうしで「自分はデジタルデトックスをどうやっているか」という話に自然と広がることが多いです。正解がひとつではないテーマだからこそ、他の人のやり方を聞くだけでも参考になるようです。

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