ネットワークとインターネット
Network Basics世界中のネットワークをつないだのが「インターネット」
コンピュータは1台でも便利な道具ですが、場所を変えての作業やデータのやり取りには、コンピュータ同士をつないだネットワーク(コンピュータを接続し、情報をやり取りできるようにした仕組み)があるほうが、はるかに便利です。
そして、そのネットワークとネットワークを世界規模でつないだものがインターネットです。ここで押さえておきたい、意外と知られていない事実があります。インターネットには、その全体を管理する会社や人が存在しません。特定の1社が所有していたり、1人の管理者がすべてを見張っていたりするわけではなく、無数のネットワークが互いに接続し合うことで、結果として1つの巨大なネットワークのように機能しているのです。
パケットのバケツリレー ― データを分割して送るしくみ
ネットワークを維持するには費用がかかります。この費用負担を抑えるために普及したのが、データを細かく分割し、まるでバケツリレーのように、複数のコンピュータを経由させながら目的地まで送る仕組みです。分割された小さなデータのかたまりをパケット(分割・小包化されたデータの単位)と呼びます。
この仕組みには、費用を抑える以外にもう1つ大きな利点があります。経路の一部が途切れても、接続を維持しやすいという点です。データを1本の専用回線でまるごと送る方式だと、その回線が切れた瞬間に通信は止まってしまいます。しかし、パケットに分けてバケツリレーで送る方式なら、途中の経路が1つ使えなくなっても、別の経路を通ってデータを届けることができます。これが、インターネットが特定の管理者を必要とせず、分散した形で成り立っていられる理由の1つでもあります。
LANとWAN ― 近くをつなぐ、遠くをつなぐ
ネットワークには、規模によって呼び方の違いがあります。
LAN(Local Area Network の略)は、学校のコンピュータ室のように、家の中や1つの建物の中など、限られた範囲で複数のコンピュータを接続してつくるネットワークです。
一方、離れた場所にあるLAN同士を接続する仕組みをWAN(Wide Area Network の略)と呼びます。一般家庭で暮らしているとWANという言葉にはあまりなじみがありませんが、会社規模になると話は変わります。たとえば、東京本社・大阪支社・福岡支社という3つの拠点があるとします。それぞれの拠点の中には、コンピュータ室のようなLANがあります。この離れた3つのLANを、専用の通信サービスでつないで1つの社内ネットワークにする。これがWANです。
| 用語 | 範囲 | 身近な例 |
|---|---|---|
| LAN | 家・建物など、限られた範囲 | 学校のコンピュータ室、家庭内のWi-Fi |
| WAN | 離れた場所にあるLAN同士 | 東京本社・大阪支社・福岡支社をつなぐ社内ネットワーク |
ISPという入り口 ― 個人はインターネットに直接つながらない
自分のコンピュータをインターネットに接続すれば、誰でもインターネットを利用できます。しかし実際には、個人が自分の力だけで直接インターネットに接続することは困難です。
そこで、ISP(インターネットサービスプロバイダの略。Internet Service Provider)と呼ばれる企業が、インターネットまでの接続を代行しています。私たちが自宅や会社でインターネットを使えているのは、契約しているISPが、私たちの代わりにインターネットの入り口をつないでくれているからなのです。
考えてみましょう ― あなたの月額の通信費はどれくらい?
ISPと契約すると、当然ながら毎月の通信費がかかります。ご自身の毎月の通信費(インターネット回線とスマートフォンの合計)を思い浮かべながら、次のおおよその相場と見比べてみましょう。
| 住居のタイプ | 月額の目安 |
|---|---|
| 一般家庭(戸建て) | 5,500円~6,500円前後 |
| マンションなどの集合住宅 | 4,000円~4,500円前後 |
なお、スマートフォンなどの回線と自宅のインターネット回線を同じ会社でまとめる「セット割」を使うと、1,000円ほど割引になることもあります。相場より高い方は、契約している回線やプランを一度見直してみるとよいかもしれません。
ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。
「管理者がいない」=「無法地帯」ではない
インターネットに全体を管理する会社や人がいないと聞くと、「無法地帯なのでは」と不安になるかもしれません。しかし実際には、世界中の技術者や組織が合意した共通のプロトコル(通信の取り決め。次のレッスンで詳しく扱います)にしたがって、それぞれのネットワークが自律的に動いています。1人の王様が支配しているのではなく、共通のルールを全員が守ることで、結果として秩序が保たれている。ネットワークの世界は、そういう成り立ち方をしています。
パケットが選ぶ道は、そのつど変わる
バケツリレーで運ばれるパケットは、必ず同じ道を通るとは限りません。その瞬間の混雑状況や、途中の経路が使えるかどうかによって、通る道が変わることがあります。同じ相手に送った2つのパケットが、まったく違う経路をたどって、最終的に同じ場所に届く。そんなことも起こり得ます。手紙を1通の道でまとめて送るのではなく、複数の配達員に分散して託すようなイメージだと考えると、経路が途切れても届きやすい理由がより実感できるはずです。
教室のひとこま
最後に、このテーマを教えるとき、教室でよく交わされるやりとりを。
講師「インターネットには管理者がいない」という話をすると、研修では毎回、驚きの声があがります。ふだん当たり前のように使っているものほど、成り立ちを知らないまま使っている。そのことに気づいてもらえる瞬間が、この章の入り口では一番好きです。