国債とは何か

What are JGBs?

国債は国の借用書

友人にお金を貸すとき、口約束だけでは不安なら、借用書を書いてもらうかもしれません。「いつまでに返す」「利子はいくら」という約束を、紙に残しておくわけです。

国債(国が発行する借用書。正式には国庫債券)は、国がお金を借りるときに発行する、この借用書にあたるものです。国債を買った人は国にお金を貸したことになり、国は決められた満期の日に元本を返し、それまでのあいだ毎年決まった金利と国債で見た利子を払います。

買う相手は、銀行や保険会社、年金基金といった大きな機関投資家が中心ですが、個人が買える国債もあります。誰が買うにせよ、しくみの土台は「国にお金を貸して、利子と元本を受け取る」という点で変わりません。

国債には、満期までの期間がさまざまな種類があります。半年から1年程度の短いものから、10年、20年、中には30年や40年という長いものまであり、それぞれで利回りの水準も違います。金利と国債で扱った長期金利は、このうち10年ものの国債の利回りを指します。

なぜ国債を発行するのか

国は税金で歳出をまかなうのが基本ですが、税収だけでは1年間の支出をすべて賄いきれない年があります。その不足分の穴埋めとして国債を発行し、お金を借りて補う。これが国債が発行される、いちばん単純な理由です。

もう1つ、よく語られる理由があります。道路や橋、学校のような、長い年月にわたって使われる社会の基盤を作るとき、その費用を今の世代だけで払い切るのではなく、国債という形で将来の世代とも分担する、という考え方です。長く使うものの費用は、長く使う人たちで分けて負担するのが筋だ、という理屈です。

「穴埋めのための借金」なのか、「世代を超えた費用の分担」なのか。実際にはどちらの性格も併せ持っています。どちらの見方に重心を置くかによって、国債への評価は変わってきます。

家計に置き換えると、生活費が足りずにカードローンを組むのと、住宅ローンを組んで家を買うのとの違いに近いかもしれません。どちらも借金である点は同じでも、何のための借金かによって受け止め方が変わる、という感覚は共通しています。国債についても、何のために発行されたお金なのかを分けて考える視点が役立ちます。

国の負債は、誰かの資産

資産と負債で見たとおり、誰かの負債は、必ず誰かの資産です。住宅ローンが借りた人にとっては負債でも、貸した銀行にとっては資産であるのと同じように、国債は国にとっては負債ですが、それを買った側にとっては資産です。

では、その国債は誰が持っているのでしょうか。次の表は、国債の保有者を大まかに分けたものです。

保有者割合備考
日本銀行約49%金融政策として買い入れてきた分
海外約6.8%海外の投資家
国内の銀行・保険・年金など残り(約44%)機関投資家が中心

出典・時点: 財務省「国債等の保有者別内訳」2025年12月末速報。

この内訳で目を引くのは、海外の保有割合が1割にも満たないことです。国債の大部分は、日本銀行を含めた国内で保有されています。私たちが銀行に預けた預金や、年金保険料として払ったお金の一部も、銀行や年金基金を経由して、めぐりめぐって国債に姿を変えていることがあります。

銀行は預かった預金の一部を企業への貸し出しに回す一方、一部を国債の購入にも回しています。年金基金も、将来の給付に備えて集めた保険料の一部を、国債を含むさまざまな資産で運用しています。国債は、遠い存在に見えて、実は家計のお金の巡り先の1つでもあるのです。

もっと深く ― 国債は毎日売買されているDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。

国債には市場がある

国債は、発行されたら満期まで塩漬けにされるものばかりではありません。株式と同じように、市場で日々売買されています。売買される価格や利回りは、金利の動きなどに応じて日々変動します。

個人向け国債という商品もある

機関投資家向けの国債とは別に、個人が少額から買える「個人向け国債」という商品も存在します。ここでは、そうした商品があるという事実だけを紹介します。仕組みや向き不向きは金融機関ごとに説明が異なるため、この講座では購入をすすめることはしません。

大切なのは、国債が「発行されたら動かない紙」ではなく、日々値段のつく金融商品だという点です。この価格と利回りの関係については、金利と国債で、もう一歩詳しく扱います。

考えてみるTHINK
Q1

自分の銀行預金や年金保険料は、めぐりめぐって国債につながっていないでしょうか?

ヒント: 保有者の表で、銀行や年金基金がどれくらいの割合を占めていたか思い出してみましょう。

Q2

「国の借金は、国民の資産でもある」という言い方は、どこまで正確でしょうか?

ヒント: 国債を持っているのが「国民全員」なのか、それとも一部の保有者に偏っているのか、表を見返してみましょう。

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