金利と為替
Rates and the Yenお金は金利の高い通貨に向かう
円安と物価の「もっと深く」で、なぜ円安が進んだのかという話に少しだけ触れました。ここでは、その入口だった金利差の話を、本編として掘り下げます。
同じお金を預けるなら、金利が低い通貨より、金利が高い通貨で持っていたほうが、受け取れる利息は多くなります。この単純な理由から、世界のお金は、より金利の高い通貨に向かいやすいという性質を持っています。円を売って金利の高い外貨を買う動きが増えれば、円の価値は下がります。つまり円安の方向に力がかかる、ということです。
反対に、外貨を売って円を買う動きが増えれば、円の価値は上がり、円高の方向に力がかかります。金利は、為替が動く理由の一つとして、よく取り上げられる要因です。
日米の金利差と円安
近年の円安を語るときによく登場するのが、日米の金利差です。政策金利で見たように、日本の金利はマイナス金利政策が解除された2024年3月以降、段階的に引き上げられてきましたが、それでも米国の政策金利と比べると低い水準にとどまってきました。
日本の金利が米国に比べて低い状態が続くと、円を売って金利の高いドルを買う動きが強まりやすく、これが円安の大きな要因の一つだったというのが、多くの分析に共通する一般的な整理です。2026年3月には、1ドル=160円に迫る場面がありました(日本経済新聞)。この背景には、金利差をはじめとするいくつもの要因が重なっていたと考えられています。
金利差だけがすべてを説明するわけではありませんが、「どちらの通貨を持っていれば有利か」という損得勘定が、為替の動きを考える上での一つの軸になることは押さえておきたいポイントです。
金利差が縮むとどうなるか
では、日本の金利がさらに上がり、米国との金利差が縮まっていくと、為替にはどのような力がかかるのでしょうか。
理屈のうえでは、金利差が縮む方向に動けば、円を持つ魅力が相対的に高まり、円高の方向に力がかかりやすくなると考えられます。これはあくまで方向感の話であり、実際に円高が進むかどうか、いつ・どこまで動くかを見通すことは、この講座の範囲を超えます。
金利差の縮小は、方向感を生む一つの力にすぎません。次の見出しで見るように、為替はほかの要因からも同時に力を受けています。
ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。
金利以外にも、為替を動かす要因はいくつもある
為替は、金利差だけで決まるものではありません。たとえば、日本が海外から原油や食料を輸入し、その代金を外貨で支払うといった貿易の動き、企業や投資家が海外の株式や不動産に投資する動き、世界情勢が不安定になったときに比較的安全とされる通貨に資金が逃げるリスク回避(安全と見なされる資産に資金を移す動き)の動きなど、さまざまな要因が同時に絡み合っています。
ニュースで「金利差が縮小したのに円安が進んだ」という場面に出会うことがあるかもしれません。それは金利差以外の要因が、その時々でより強く働いたためと考えられます。「金利差=為替の全て」という単純化には注意が必要です。
日銀の利上げのニュースが出た日、円相場はどのように動いたでしょうか。実際に確かめてみましょう。
ヒント: ニュースサイトで「日銀 利上げ 為替」などのキーワードと、その日の日付を組み合わせて調べてみましょう。