ストレージと、ファイルサイズの感覚
Storageストレージとは ― パソコンの中の、収納だんす
パソコンの中には、書いた文書も、撮った写真も、入れたアプリも、ぜんぶどこかにしまわれています。この「しまっておく場所」のことを、ストレージ(storage)と呼びます。イメージとしては、部屋に置いてある収納だんすだと思ってください。引き出しを開けて、物を入れて、しまっておく。電源を切っても、だんすの中身は消えません。
ここで、よく混同される言葉があります。メモリです。メモリは「いま広げている作業机」で、ストレージは「使い終わったものをしまう収納だんす」。机の上は作業がしやすいように広く空けておきますが、電気を消して部屋を出れば、机の上に置きっぱなしだったものは片づいてしまいます(消えてしまいます)。だから、大事な書類は机の上ではなく、だんすにしまう必要があるのです。メモ帳の保存で「保存しないと消える」と教えたのは、まさにこの話でした。書きかけの文章は机の上(メモリ)にあるだけで、保存してはじめて、だんす(ストレージ)に収まります。
Windowsでは、この一番大きな収納だんすに「C」という名前がついています。これをCドライブと呼びます。パソコンの中の書類は、突き詰めればすべてこのCドライブのどこかにしまわれています。なぜAでもBでもなくCから始まるのか、少し不思議に思うかもしれませんが、今日はそこには深入りせず、先に進みましょう。
空き具合を見てみる
収納だんすである以上、当然ながら容量には限りがあります。いま自分のパソコンの引き出しがどれくらい埋まっているか、実際に見てみましょう。使うのはエクスプローラーです。
- エクスプローラーを開き、左側の一覧から「PC」をクリックします。
- 右側に、「ローカルディスク(C:)」という項目が表示されます。その下に、細長いメーターが1本引かれているはずです。
- このメーターが、Cドライブの空き具合です。青い部分が使用済み、残りの余白が空きを表しています。
メーターの色にも注目してください。ふだんは青色ですが、空きが少なくなってくると赤色に変わります。これは「そろそろだんすが満杯に近い」という、パソコンからの警告です。赤くなったら、あとで紹介する不要なファイルの整理を考えるタイミングです。
もう少し詳しく、「何が場所を取っているのか」まで知りたいときは、スタートボタンから設定を開き、「システム」→「記憶域」と進みます。すると、アプリ・写真・動画・書類といった種類ごとに、それぞれどれくらいの場所を占めているかが一覧で表示されます。だんすの中を、引き出しごとに開けて確かめるようなものです。
ファイルサイズの感覚を持とう
ストレージの空き具合を理解するには、そもそも1個のファイルがどれくらいの大きさなのか、感覚を持っておくと便利です。ファイルの大きさを表す単位はバイト(byte)。ただし1バイトはあまりに小さいので、実際には1000倍ごとに単位が階段状に切り替わっていきます。バイト → KB(キロバイト)→ MB(メガバイト)→ GB(ギガバイト)という順番です。
数字だけ聞いてもピンとこないので、身近な例で感覚をつかんでおきましょう。メモ帳で保存した文書は、たいてい数KB程度。スマートフォンで撮った写真1枚は数MB。動画になると一気に重くなり、1分間の撮影で数十〜数百MB。映画1本を保存すると数GBに達します。文字の書類と、写真・動画とでは、重さの桁がまるで違うのです。
ここから、ひとつの結論が導けます。文書は何千個作ってもだんすはほとんど埋まりません。だんすを埋めるのは、いつも写真と動画です。実際、「パソコンの容量が足りない」という相談のほとんどは、書きためた文書のせいではなく、スマートフォンから移した写真や動画が積み重なった結果です。空き容量が心配になったら、まず疑うべきは文書ではなく、写真と動画の置き場所なのです。
ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。でも、パソコン歴の長い方ほど「そうだったのか」となる話です。
1024の階段 ― 「1000倍」は実は正確ではない
本文では分かりやすさを優先して「1000倍ごとに単位が変わる」と説明しました。実はこれ、厳密には少しだけずれています。パソコンの内部は2進数(0と1)の世界なので、単位の階段は1000倍ではなく、2の10乗である1024倍刻みになっているのです。
これが、身に覚えのある「あるある」を生みます。「512GB」と書かれたパソコンを買ったのに、実際にエクスプローラーで見た空き容量の合計が、512GBよりずいぶん少なく見える――という現象です。理由は単位の換算方法の違いにあります。パソコンを作るメーカーは1000倍換算で「512GB」と表示している一方、Windows自身は1024倍換算で計算して表示するため、同じ容量のはずなのに、数字にずれが生まれるのです。壊れているわけでも、だまされているわけでもありません。
HDDとSSD ― 回る円盤と、動かない電子の棚
ストレージという「だんす」にも、実は仕組みの異なる2種類があります。ひとつは昔ながらのHDD。中で円盤(ディスク)が高速で回転し、その上を針のような部品が行き来してデータを読み書きする、機械仕掛けのだんすです。もうひとつが、現在の主流であるSSD。こちらは回転する部品を一切持たない、電子の棚です。
最近のパソコンが以前よりずっと速く起動し、動作音が静かで、多少落としても壊れにくくなった理由の多くは、このHDDからSSDへの移行にあります。回る円盤も、それを追いかける針もない。動く部品がないということは、それだけ壊れにくく、待たされにくいということなのです。
教室のひとこま
最後に、このテーマを教えるとき、教室で毎回のように交わされるやりとりを。
講師
講師「容量が足りない」というご相談を受けて設定→システム→記憶域を一緒に開くと、たいてい写真と動画が上位を占めています。ご本人は「そんなに撮った覚えがない」とおっしゃるのですが、スマートフォンとの自動同期で、知らないうちに積み重なっていることがほとんどです。
もうひとつ、よく聞かれるのが「512GBのはずなのに表示が違う」というご質問です。これは壊れているのでも、だまされているのでもなく、1000倍と1024倍という換算の違いだと説明すると、皆さんほっとした顔をされます。数字のからくりを知っているだけで、余計な不安が1つ減ります。