Windows Update とは何か
Windows UpdateWindows Update とは ― 予防接種と健康診断
パソコンを使っていると、ときどき「更新プログラムを準備しています」という表示を見かけます。これがWindows Update、Windows自身をアップデートする仕組みです。新しい機能が追加されることもありますが、実はそれは主役ではありません。本当の主役は、安全のための修正です。
たとえるなら、家の鍵のようなものです。長く使っている鍵に、あとから「実は特殊な工具で簡単に開けられる欠陥があった」と分かることがあります。そのとき、良心的な鍵屋であれば、無料で部品を直しに来てくれるはずです。Windows Updateは、まさにこの「鍵屋の無料訪問」にあたります。パソコンという家に、あとから見つかった欠陥を、メーカーであるMicrosoftが直しに来てくれているのです。予防接種で体を守り、健康診断で悪いところを早く見つけるのと同じように、Windows Updateはパソコンの体調を保つための、定期的な手当てだと考えてください。
なぜ、当てないといけないのか
どれほど注意深く作られたソフトにも、あとから脆弱性(守りの穴)が見つかります。これは作った人の腕が悪いという話ではありません。世界中の人が毎日使い、悪意のある人がその隙をずっと探し続けている以上、穴が見つかるのは避けられないことなのです。大事なのは、穴が見つかったあと、それをふさぐかどうかです。
穴を放置したままのパソコンは、その穴を知っている人からいつでも入られる状態が続きます。「うちには盗られて困るものなんてないから平気」と思う方もいますが、これは少し誤解です。狙われるのは、あなたの写真やパスワードだけではありません。パソコンそのものを乗っ取り、持ち主に気づかれないまま、他人を攻撃するための踏み台として使うことがあるのです。自分は何も失っていないつもりでも、気づかないうちに加害者側の道具にされてしまう――それが、穴をふさがずに放置することの本当の怖さです。難しく考える必要はありません。届いた更新は、素直に受け取っておけばいいのです。
確認と実行のしかた
Windows Updateは、多くの場合パソコンが自動で見つけて準備してくれますが、自分の目で確認する方法も覚えておきましょう。手順は次のとおりです。
- スタートボタンをクリックし、「設定」を開きます。
- 設定の画面の中から「Windows Update」という項目を探してクリックします。
- 「更新プログラムのチェック」というボタンがあれば押します。見つかった更新は、そのまま画面の指示にしたがってダウンロード・インストールします。
作業を進めると、「再起動が必要です」と表示されることがあります。これは、修理の仕上げに一度お店を閉めなければならない、ということです。電源の切り方で学んだシャットダウンと同じで、Windows自身の中身を新しいものに入れ替える作業は、動いたままではできません。いったんきちんと店じまいして、新しい状態で開店し直す必要があるのです。
だからこそ、再起動を求められたら、まずメモ帳ではじめての文書保存で覚えたCtrl+Sで、開いている文書を保存しておく習慣をつけてください。再起動の前には、必ず保存。これだけ覚えておけば、更新のたびに慌てることはなくなります。
「勝手に再起動された!」を防ぐ
Windows Updateにまつわる不満で、いちばんよく聞くのがこれです。「作業中に、急に再起動されてしまった」。これは、更新の準備が整ったのにいつまでも再起動されないと、Windowsが業を煮やして自分から動き出してしまうために起こります。
これを防ぐ方法が、アクティブ時間の設定です。これは「自分がこの時間帯によく使っている」とWindowsに前もって伝えておく、いわば約束のようなものです。設定→Windows Updateの中にある「アクティブ時間の変更」から、自分が普段パソコンを使う時間帯を登録しておけば、その時間には勝手に再起動しないと約束してくれます。
安心してほしいのですが、更新プログラムのダウンロードや準備そのものは、多くの場合夜中のあいだに静かに進んでいます。あなたが眠っている間に、パソコンもこっそり支度を整えているのです。アクティブ時間さえ登録しておけば、朝になって「気づいたら再起動されていた」と慌てることはぐっと減ります。
ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。でも、パソコン歴の長い方ほど「そうだったのか」となる話です。
世界中が同じ日に更新される ― パッチチューズデー
実は、世界中のWindowsパソコンへの更新は、ばらばらなタイミングで配られているわけではありません。多くの重要な更新はパッチチューズデーと呼ばれる、毎月第2火曜日(日本時間では水曜日になります)にまとめて配られます。なぜわざわざ足並みをそろえるのかというと、これは企業のシステム管理者のためです。何百台、何千台ものパソコンを預かる担当者にとって、更新がいつ来るか分からないのはとても困ります。「来る日が決まっている」からこそ、事前にテストをし、計画的に社内へ配ることができるのです。
配られた瞬間から、競争が始まっている
さらに一歩踏み込んだ話をします。更新プログラムが世界中に配られると、悪意のある人たちはそれを解析し、「今回、どこの穴がふさがれたのか」を逆算します。修正の中身を調べれば、直す前にどんな弱点があったかが分かってしまうからです。そして彼らは、まだその更新を当てていない、つまり古いままの穴が開いたパソコンを狙って攻撃を仕掛けます。
つまり、更新プログラムが配布されたその瞬間から、「あなたが当てるのが先か、攻撃者が突いてくるのが先か」という競争がすでに始まっているのです。「あとでいいや」と後回しにする時間は、そのまま相手に有利な時間を与えることになります。これが、Windows Updateの「あとで」がただの先延ばしでは済まない、本当の理由です。
教室のひとこま
最後に、このテーマを教えるとき、教室で毎回のように交わされるやりとりを。
講師
講師更新の通知を「壊れかけの警告」だと勘違いして、怖がって何もクリックできなくなる方がときどきいらっしゃいます。そういうときは「これは壊れた合図じゃなくて、直しに来てくれたお知らせですよ」と伝えると、たいてい安心して手を動かしてくれます。
アクティブ時間の設定を教えると、「これを先に知っていれば良かった」という反応をよくいただきます。作業中に再起動されて慌てた経験がある方ほど、この一言に納得してくれるようです。