プリンタドライバをインストールしてみよう

Printer Driver

ドライバとは ― パソコンとプリンタのあいだの通訳

新しいプリンタを買って、いざパソコンにつないでみても、そのままでは何も印刷できません。実は、買ってきたばかりのプリンタとWindowsは、最初はお互いの言葉が通じない状態にあります。海外から来たお客さんが日本の窓口にやってきた場面を思い浮かべてください。お客さんは自分の国の言葉しか話せず、窓口の係員は日本語しか話せません。このままでは用件がまったく伝わりませんが、そこに通訳が一人立つだけで、会話は成り立つようになります。パソコンとプリンタのあいだで、この通訳の役目を果たしているソフトウェアがドライバです。

この仕組みは、プリンタに限った話ではありません。マウスもキーボードも、画面に絵を映し出す仕組みそのものも、実はすべて専用の通訳(ドライバ)を介してWindowsとやり取りしています。ふだん意識することがないのは、多くの機器のドライバがWindowsにあらかじめ用意されているからです。通訳を新しく雇い、パソコンの中に住まわせる作業のことをインストールと呼びます。プリンタドライバのインストールとは、つまり「このプリンタ専属の通訳を、パソコンの中に新しく迎え入れる」作業のことなのです。

まずは、つないでみる

通訳を雇う、と聞くと難しい手続きが要りそうに思えるかもしれませんが、今どきのWindowsは、この通訳探しのかなりの部分を自動でやってくれます。最初にやるべきことは、難しい設定ではなく、ただつないでみることです。

  1. USBケーブルでプリンタとパソコンをつなぎます(Wi-Fi接続に対応したプリンタなら、先にプリンタ側の画面でWi-Fi接続の設定を済ませておきます)。
  2. そのまま、しばらく待ちます。画面の右下あたりに「デバイスを設定しています」のような表示が出ることがあります。これは、Windowsが自動で通訳を探して連れてきている最中のサインです。
  3. 設定Bluetoothとデバイスプリンターとスキャナー の順に開きます。ここにつないだプリンタの名前が表示されていれば、通訳探しは成功です。

まず自動にまかせて、うまくいかなければ次の手を考える。この順番を守るだけで、最初から難しい方法に手を出して回り道をすることがなくなります。

メーカーのドライバを入れる

自動の手配だけでは、うまくいかないこともあります。名前が一覧に出てこない、印刷はできるのに色や仕上がりがどこかきれいでない、あるいはスキャン機能だけが使えない——そんなときは、メーカー自身が用意している専属の通訳を、あらためて呼び直す必要があります。

まず確かめてほしいのが、プリンタ本体の前面か天面に書かれている型番です。「EP-」や「TS-」のように、アルファベットと数字が組み合わさった短い文字列が、そのプリンタの正式な名前にあたります。型番が分かったら、キヤノン・エプソン・ブラザーといったメーカーの名前と型番を組み合わせて検索します。「メーカー名 型番 ドライバ」——この検索のしかたは、はじめてのWeb検索で覚えた検索窓の使い方そのままの応用です。

検索結果には、メーカーの公式サイトのほかに、よく似た装いの非公式サイトが混ざっていることがあります。メーカーの公式サイト以外からドライバを入れてはいけません。クリックする前に、アドレスバーのドメインを確かめる癖をつけてください。アドレスバーと「https://」の意味のもっと深くで扱った「ドメインは後ろから読む」が、まさにここで生きてきます。公式サイトが見つかったら、該当する型番のドライバをダウンロードし、そのファイルを開いてインストールを進めます。

テスト印刷まで

通訳が着任したら、最後に本当に会話が成立するかを確かめます。

  1. 設定プリンターとスキャナー を開き、自分のプリンタをクリックします。
  2. 開いた画面の中から「テストページの印刷」を選びます。
  3. 用紙が1枚、印刷されて出てくれば、パソコンとプリンタの会話は無事に開通しています。

プリンタに付属しているCD-ROMを使ってインストールする方法も昔からありますが、今はおすすめしません。ディスクの中身は発売当時のままで古くなっていることが多いうえ、そもそも最近のパソコンにはCDを読み込む口自体がついていないことがほとんどだからです。この記事で紹介した「まずつないで自動にまかせる」か「メーカーのホームページから探す」のどちらかで、たいてい事足ります。

反対に、使わなくなった古いプリンタの通訳を片づけたいときや、同じ型番を入れ直したいときの手順は、プリンタドライバをアンインストールするで扱います。

もっと深く ― なぜ機種ごとに通訳が違うのかDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。初心者の方は読み飛ばして構いません。でも、パソコン歴の長い方ほど「そうだったのか」となる話です。

「印刷して」は、機種ごとの方言

同じ「印刷して」という頼み方でも、実際にプリンタの中で起きていることは機種ごとにまったく違います。インクの数は4色の機種もあれば6色の機種もありますし、紙を送る仕組みも、両面印刷のやり方も、メーカーどころか同じメーカーの中の型番違いでさえ細部が異なります。共通の言葉で頼んだつもりでも、受け取る側の機械仕掛けがばらばらなので、それぞれの機種の癖を知り尽くした専属の通訳がどうしても必要になるのです。ひとりの汎用通訳では対応しきれないほど、プリンタの世界は方言だらけだということです。

Windows Updateも、実は通訳を配っている

Windows Updateは、Windows自身の安全のための修正だけを配っているわけではありません。実は、さまざまなメーカーのプリンタや周辺機器のドライバも、Windows Updateを通じて配られています。プリンタをつないでしばらく待つだけで名前が現れることがあるのは、この配達網のおかげでもあります。ふだん見ている更新の裏側では、通訳の手配も静かに進んでいるのです。

「ドライバ」という名前の由来

最後に、名前の由来にも触れておきます。ドライバという英語は、もともと馬車や自動車を操る「御者・運転手」を指す言葉です。機械を動かす(driveする)者、という意味合いがそのまま転用され、パソコンの世界では「機器を動かすためのソフトウェア」という意味で使われるようになりました。通訳のたとえで説明してきましたが、名前の生まれからいえば「機械を駆動させる係」という呼び方のほうが、実は正確なのです。

教室のひとこま

最後に、このテーマを教えるとき、教室で毎回のように交わされるやりとりを。

受講者
プリンタをつないだのに、名前が出てきませんでした。壊れているんでしょうか?
講師講師
焦らなくて大丈夫です。まずは自動の手配がうまくいかなかっただけのことが多いんです。次は、メーカーの公式サイトから専属の通訳を呼び直す番ですよ。
受講者
ドライバを検索したら、公式サイトと似たようなサイトがいくつも出てきて、どれが本物か分からなくて……。
講師講師
そこは、アドレスバーのドメインを後ろから読む癖の出番です。似ていても、公式サイト以外からは入れないようにしましょう。
講師メモ ― 現場から

プリンタの型番を探すとき、多くの受講者さんは本体を裏返したり側面を隅々まで探したりされますが、実際は前面か天面にシールで貼ってあることがほとんどです。「まずは正面と上を見てください」と伝えるだけで、たいてい数秒で見つかります。

「公式サイト以外から入れてはいけません」と伝えると、最初は戸惑う顔をされる方が多いです。そこで「アドレスバーを後ろから読む」をもう一度その場でやってみせると、「あ、あの時の話だ」と表情が変わります。一つの技術を別の場面で使い回せることが伝わる瞬間です。

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